ポリスチレン(PS)の第3四半期(7~9月)国内価格は、前四半期比で1キログラム当たり40円以上下落したとみられる。新型コロナウイルスの感染拡大によって、原料市況が大幅に下がったことが要因。4~6月の需要にも影響を与え、主要用途の出荷が低迷した。第4四半期は、原料市況が緩やかながら上昇していることを反映するとみられる。

 PS国内価格は国産ナフサ基準価格、ベンゼンのアジア契約価格(ACP)の動きによって四半期ごとに改定される。7~9月の値決め指標となる第2四半期のベンゼンACPは平均で1トン当たり358ドル。前四半期は703ドルで49・1%下がった。第2四半期の国産ナフサ基準価格は1キロリットル当たり2万5000円前後と想定され、第1四半期の4万4800円から2万円程度下落する見込み。

 日本スチレン工業会によると、4月の出荷は前年同月比15%減の5万4822トン。国内各社が4月以降の値上げを発表していたため3月に駆け込み需要が集中。反動減がみられたほか、緊急事態宣言の影響が直撃した。5月は29%減の4万6953トンで、減少幅が拡大した。

 国内メーカーによると主力の食品包装向けは外出自粛にともなう「巣ごもり需要」が下支えする部分もあるが、コンビニ向けが減少。大型連休関連需要がなくなったことも痛手となった。6月の出荷も今月からの値下げを見据えて低調が続いた。

 10~12月は5円以上上昇するとみられる。ナフサが5月初旬から回復傾向にあり、第3四半期は1キロリットル当たり3万円をうかがう。ベンゼンは緩やかに回復。7月のACPは1トン当たり425ドルで、2カ月続けて上昇した。中国で在庫調整局面にあることなどを背景に、600ドル台半ば~700ドル台前半だった前年同期並みに回復するのに時間を要しそう。

 また、料理のテイクアウトや配送サービスの浸透が、食品包材向けの需要にどのように影響するかもカギとなりそうだ。

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