中国で事業展開する日系電機および電子材料メーカーに新型コロナウイルスの影響が及んでいる。中国の製造拠点の多くは稼働を再開しているものの、物流の混乱による出荷の遅れを見込んでいる。影響は日本にも飛び火しており、展示会や社内イベントの中止、本社や支社でのテレワーク、国内外出張禁止などの措置がとられている。さらに、上海市は日本からの入国者を2週間隔離することを決めた。中国の工場・オフィスへの帰還がますます遅れることになり、事業運営に大きな混乱が生じるとみられる。
 三菱電機の上海、常熟、常州の拠点は2月10日から順次、業務を再開しているが交通や外出などの規制が続いている。当局の通達に従い、個々に対応している。湖北省、浙江省を出張禁止地域に、その他の地域を出張要注意地域に指定している。加えて、駐在員の家族と研修生を日本に帰国させているほか、帰国者の14日間自宅待機を決定している。
 日本国内では国内外の不要不急の出張を延期する。大人数が集まる会議や場所の移動をともなう研修を取りやめている。また、テレワークなどの在宅勤務を推進し、その期間を延長している。同様の取り組みはパナソニックやソニー、NEC、富士通などでも行われている。とくにパナソニックは東京・汐留オフィスの一部事業で出社禁止とするなどの厳しい措置がとられている。
 セイコーエプソンは、グループの中国における製造工場について、政府からの各企業への活動自粛通達に従い、2月9日まで稼働を停止していた。10日から順次操業を再開し、21日には中国圏の製造拠点は全て操業再開となったが、現地交通機関、物流、協力サプライヤーの状況により、今後送品に影響が出る可能性がある。
 TOTOは、一部をのぞき中国の製造拠点で生産を再開している。香港を含む中国全土への出張を禁止するほかその他海外、日本国内においても不急の出張は見合わせている。日本では混雑する公共交通機関で通勤する社員に、時差出勤を実施している。
 デクセリアルズは、深セン拠点において、従業員の自宅待機指示などの影響により生産活動を見合わせていたが、2月24日から稼働を開始した。中国への出張は禁止、その他海外出張も原則禁止している。日本国内では通勤時の人混みを避ける目的で、東京本社と西日本オフィスは時差出勤や在宅勤務を推奨している。多くの人が集まるイベント等への参加も自粛している。2月末に開催された「国際二次電池展」の出展を中止した。(中尾祐輔)

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