新型肺炎で世界的に経済への影響が懸念されるなか、わが国の自治体で47兆円と最も工業生産額の多い愛知県を中心とする中京地域も新型肺炎による影響が出始めている。中部経済産業局が2月13日に発表した景況判断は先月までの緩やかな拡大から、ほぼ主要指標で「弱含み」に景況判断が下方修正され、エリア内の各企業も「新型肺炎」によるビジネス影響を懸念する声が多くなり始めた。化学工業日報社名古屋支局は在中京の主要化学系約30社に書面で緊急アンケートを実施(回答率約50%)。中京地域も輸出など中国経済と一部で密接に連動しており、同国の景気減速を懸念する企業の増加が浮き彫りになった。
 愛知県下を中心とした主要化学や化学品商社などに実施したアンケートで、中国やアジア地域への業務出張を禁止するところが回答企業全体の約7割弱を占めた。「事実上、中国やアジアへの業務出張は現在ストップ」(名古屋市内の中堅化学品商社幹部)している企業が大半。中国などとの取引やビジネスの影響についても「(新型肺炎の)影響が出始めている」とする結果が多く、中国ビジネスや関係先の生産も事実上、縮小や操業停止に向かっているとの声も多い。「中国向けの化学品輸出が事実上、止まっており長期化を懸念」「中国の現地代理店向けに輸出している電子材料が2月に入り大幅に落ち込んだ」との回答もあった。
 愛知県を中心に三重県や岐阜県などの中京エリアは、自動車や樹脂、金属加工などの産業が集積しており、名古屋港や四日市港から中国やアジア向けに自動車や部品、工作機械や電子機器など工業製品の輸出も極めて多い。昨年から日本の各地域のなかで唯一、景況感は「緩やかな拡大」を維持してきた中京エリア。ただ域内景況指数も事実上、下方修正されたことで、新型肺炎の影響で先行きの景況感に黄信号が出始めたといえそう。

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