2050年のカーボンニュートラル実現に向けて社会の変革は始まった。日本が失われた30年を反転させ、世界の主役に踊り出られるかの挑戦でもある。東京大学の大久保達也理事・副学長は「今こそ、化学の出番」と話す。日本の化学業界がこの難局をどう乗り越えるのか、ヒントを探りたい。

 <グローバル・ミニマム探る必要>

■…国際社会は脱炭素へ舵を切りました。日本はどう取り組むべきでしょうか。

 「二酸化炭素(CO2)の排出削減の活動で重要なのは、最終的にはグローバル・ミニマム(地球規模の最小点)を探ることだ。一企業、一業界で取り組んでもローカル・ミニマム(局所最小点)しか見いだせない。そのためにはまず、産官学公民による連携が不可欠」

 「カギを握るサプライチェーンの構築に、化学業界はもともと長けている。日本は海外に比べて企業数が多いとの指摘はあるが、資本関係を超えてうまくネットワークを組めている強みがある。CO2あるいは水素を従来の産業の枠を越えてどう扱うか。こうした社会の設計に役立つのは化学工学である。国内外の化学メーカーには化学工学出身者が重用されており、脱炭素の中核を担ってほしい」

 <先頭ランナーへ 今こそ転換を>

■…世界と比べれば日本の成長は見劣りします。国際競争に勝てるでしょうか。続きは本紙で

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