米モデルナは、新型コロナウイルスワクチンの第2相臨床試験(P2)で、すべての症例登録が完了したと発表した。開発の遅れを指摘する現地報道も出てきているが、「計画通り7月中に第3相試験(P3)を始める」ことを改めて表明した。米国立衛生研究所(NIH)が立ち上げた大規模な治験ネットワークを活用し、3万人規模の試験を行う。

 同社は5月からコロナワクチンの第2相試験を開始し、まず18~55歳の被験者300例と高齢者50例を登録。第三者評価機関の独立データモニタリング委員会が6月25日に被験者登録の継続を認め、高齢者300例の登録も完了した。

 P2と並行し、7月中にP3を始める予定。同試験に必要な治験用ワクチンの製造も完了している。NIH傘下の米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)と共同で行い、米国で約3万人を組み入れる予定。海外報道では、政府側の専門家と同社の意見が対立しており、試験開始が8月にずれ込む可能性も指摘されている。

 NIHは、今後始まる各社のコロナワクチンのP3に向けて、被験者を効率的に確保するための治験ネットワークを立ち上げた。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ワクチンの開発などで活用されていた治験ネットワーク4つを融合したシステムで、ウェブ上で治験ボランティアの登録を受け付ける。米国以外も含め、治験実施施設が100カ所以上参加する見込み。予防薬として開発される抗体療法も対象。最初のプロジェクトとしてモデルナのP3を実施する。

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