官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)は、業界再編などを目的とする新ファンド「JICキャピタル」をこのほど設立した。素材・化学分野を一つの投資先候補として、新産業の創出や大規模な事業再編を後押しする。前身となる産業革新機構は2015年にJSRなどと米国のバイオ医薬品開発・製造受託会社を買収し、18年に住化積水フィルムホールディングス設立に際し出資を行うなど、化学業界にも積極的に関与してきた。新ファンドの展望をJICキャピタルの社長最高経営責任者(CEO)に就任した池内省五氏に聞いた。

 ▼…ファンドの特徴は。

 「われわれの長所は長期にわたってリスクマネーの供給が可能な点だ。通常のプライベート・エクイティ(PE)ファンドと異なり、業績指標で内部収益率(IRR=期間に応じて将来の収益を割り引いて算出する)を利用しない。投資した金額が最終的に何倍になるかという投資倍率を指標として用いるため、時間の概念が外出しできる。われわれは足元のリスクを取りつつ、しっかりと時間をかけてバリューアップを進めることが可能だ」

 「日本にもPEファンドは数多くあるが、日系で数百億円規模の案件を手がけられるファンドは少ない。ファンド全体の規模3000億円以上では外資系の独壇場とも言える状況だ。さらに日系・外資ともに外食・小売といったサービス業以外での実績は限られる。われわれは共同投資ファンドも使えば最大1000億円規模の投資も可能だ。素材・化学産業も含むサービス業以外の産業を投資対象として業界のすみ分けを図りつつ、必要があれば適宜他の民間ファンドとも手を組んでいく。経営者からすれば、日系、政府系ということで安心感もある」

 ▼…化学業界の課題をどうみていますか。続きは本紙で

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