人間国宝の小三治さん逝く

　以前もこのコラムで書いたと思うが、化学業界の大御所に仕事で成功する秘訣を聞いたところ、「よく寝ることです。頭がスッキリすれば良いアイデアも浮かびますよ」と教えてくれた。以来、よく寝るように心がけているのだが、最近どうも寝付きが悪い。悩んだ末、通販で結構高い枕を購入したが、むしろ逆効果だった▼人間国宝で落語家の柳家小三治さんが７日、８１歳で亡くなった。志ん生、志ん朝もよく知らない音痴だが、小三治さんだけはテレビでやっているとチャンネルを合わせて良く聴いたものだ。人情噺では思わず涙し、滑稽噺では静かに笑いがこみ上げて来る。落語の面白さを教えられると同時に、その道の達人の凄みというものが伝わってきた▼落語の高座では、本題に入る前に世間話をしたり、本題に関連する小話をしたりする。これを「まくら」という。小三治さんはまくらが上手いことでも有名で、まくらだけを集めたＣＤもあるという。このコラムでもまくらを多用するが、今回のようにまくらだけで終わってしまうこともしばしば。あしからず▼さて、以前の枕に戻したり、座布団を折り畳んで枕の代わりにしたりと試行錯誤するが、今朝も首が痛い。別の枕を買って試してみようか。それとも不調のドライバーの新調の方が先かと悩む今日この頃である。（２１・１０・１２）

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