化学品は危険だ、体に悪そう-。世の中は化学に対し、いぜんとしてネガティブなイメージを持っているようだ。確かに取り扱いを厳重にしなければならない化学品は少なくない。しかし、そうした化学物質と別の化学物質を反応させると、無害どころか病気を治す薬が出来上がったりする▼100年以上前の別子銅山。銅製錬にともなって発生する有害な亜硫酸ガスが農作物をダメにしてしまう煙害が問題になっていた。そこで亜硫酸ガスを硫酸として回収し、農作物を育てる肥料を製造したのが住友化学の前身である▼化学のミラクルは止まらない。食品の消費期限を延ばしフードロス削減に貢献する包装材料、半導体や高速通信を進化させる材料など、化学は人々の快適で安全な暮らしを多方面から支えている▼人類が直面している最大の課題の1つ、地球温暖化問題。CO2を水素などと組み合わせることで、有益なエネルギーや化学品に変えられないか。ここでも化学のミラクルを実現するべく、化学産業では技術開発が進んでいる。すでに一部実用化されているものもあるが、大規模な社会実装には社会全体を巻き込んで実現する必要がある▼化学には無限の可能性がある。その素晴らしさをより多くの人々に知ってもらうのが私たちの使命である。きょうから化学週間。(21・10・18)

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