感染拡大が続く新型コロナウイルスが従来の社会の仕組みに変化を促している。働き方改革が叫ばれる状況下で当初の想定通りには進んでこなかったテレワークの普及が、一気に進展することが予測される。これまでの日本におけるビジネススタイルは、一部の先進的な企業を除き、規模の大小を問わず足で稼ぐ「オールド営業」が主流だったが、新型コロナ感染拡大を機に、この体制が崩れ、大きな変革が進む可能性が出てきた。

 このような社会変化に対し、主にIT系の商社を中心にさまざまなアプローチがスタートしている。テレワークに関連する商品やサービスが矢継ぎ早にリリースされ、緊急事態宣言期間中限定で各ツールを無償提供するという動きも進んでいる。

 例えば東京エレクトロンデバイスは、米F5ネットワークス社の「F5 APM」を、米ニュータニックス社のハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品にプレインストールした仮想化ソリューション「F5 APM on Nutanix」を4月15日に発売した。HCIによる仮想環境に安全なリモートアクセス機能を統合し一元管理することで、認証システム用のハードウエア機器が不要となり、システム設置面積が小さくて済み、導入・運用の工数とコストを削減できる。

 マクニカネットワークスも、4月に米ドキュサイン社の「DocuSign Agreement Cloud」を発売した。書面による合意や契約を電子的に置き換えるため、印紙代や郵送費などのコストを削減、契約合意から郵送までに要するリードタイムも短縮できる。印鑑を用いずにスマートフォンなどから署名可能で、テレワーク推進に貢献できる。

 さらに三谷産業は、テレワークの実現に必要なコミュニケーション機能や業務タスクの見える化、事務作業のペーパーレス化、セキュリティー機能を備えた「かんたんテレワークサービス」を4月16日から9月末まで無償提供する。グループ企業が開発した統合型コラボレーションツールを軸に、テレワークに必要な4分野・14機能を一つのパッケージとして備えたもの。その導入により安全で速やかにサービスを利用開始でき、出社しなければ遂行が困難だった業務もリモートで安全・簡単に処理できる。

 このような試みは企業にとどまらず、現在、自宅学習対応を余儀なくされている学校および各教育機関にまで拡大する可能性が大きい。新型コロナウイルスの蔓延で暗い世相となりつつあるが、この厄災後の新ビジネスの拡大を期待したい。

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