アンジェスは7日、開発を進めていた武漢型新型コロナウイルスワクチンの開発を中止すると発表した。臨床試験で期待する効果を上げること難しいと判断し、開発中止を決めた。一方、オミクロン株「BA.5」など変異株に対する改良型DNAワクチンの開発を始める。

 アンジェスは自社で保有するDNAプラスミドの技術を用いて武漢型の新型コロナウイルス感染症に対するDNAワクチンの開発に着手した。臨床試験を行っていたが、初期に設計したワクチンでは期待通りの効果を上げることができず、開発継続を断念。薬剤濃度を上げた高用量製剤の実用化に取り組んできた。

 その高用量製剤の臨床試験速報データで安全性は確認され、初期のワクチンよりも免疫原性は増強したものの、一部主要評価項目で期待する水準を満たさなかった。そのため開発の中止を決定した。

 今回の開発中止により、大阪大学、タカラバイオ、ダイセル、AGCバイオロジクス、サイティバ、シオノギファーマなどとの共同研究も終了する。

 一方、将来発生する可能性のある新たな変異株を視野に入れ、米スタンフォード大学とオミクロン株変異株に対しても有効な改良型DNAワクチンと経鼻投与製剤の研究を始める。スタンフォード大は、すでに武漢型の遺伝子配列を持つプラスミドDNAを用いて経鼻投与ワクチンを作製し、マウスを用いた実験で、血清中の抗体が上昇することを確認している。変異株に対しても有効性が確認されているといい、それらの成果を基に、開発を進める。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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