ソルベイは2月26日の2019年業績発表に際して公表していた20年通年の業績予想を取り下げた。新型コロナウイルスの感染拡大によって先行きの不確実性が一段と高まったことが背景。設備投資の大幅な削減も同時に決めている。20年第1四半期の業績発表を控えることから、予想を取り下げる欧米化学企業が今後、増える可能性がある。

 ソルベイは当初、20年の調整後EBITDA(金利・税・減価償却費計上前利益)は、前年と同水準、あるいは減少する場合でも3%程度と見込んでいた。複合材料を供給するボーイング737MAXの生産停止の影響によって通年で3000万~4000万ユーロのマイナスの影響があると想定したほか、新型コロナウイルスの感染拡大、石油・ガス関連事業の停滞が主な理由。新型コロナウイルスの感染拡大は第1四半期だけで約2500万ユーロのマイナスの影響があると見通していた。

 先週、最新の財務状況を発表し、調整後EBITDAの予想などを取り下げた。さらに20年設備投資についても、2億5000万ユーロ以上削減することを決めた。具体的な対象は明らかにしていない。

 一方で、2月26日に発表した1株当たり3・75ユーロの配当は維持する方針を示している。

 欧米の化学企業は、20年第1四半期の業績を4月下旬から相次いで発表する予定だ。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事が、08年の世界金融危機よりもはるかに悪い状況と見方を示すなど、経済情勢が悪化していることから、20年の業績予想を取り下げる企業は増えることが予想される。

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