政府は7日、新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急経済対策をまとめた。総事業規模は108兆円。同日の臨時閣議で経済対策の裏付けとなる2020年度予算補正予算案を決定した。総額16・8兆円の補正予算のうち、経済産業省分は8兆3193億円(このうち22億円は内閣官房、1兆7512億円は財務省計上)。雇用の維持と事業継続のため、資金繰り対策、中小・小規模事業者への支援策に6・1兆円と手厚く配分。脆弱性が顕在化したサプライチェーン(SC)改革に2486億円を計上、新たに補助金を設け、生産拠点の国内回帰やアジア諸国などへの多元化を促す。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、中国など特定国に依存する製品、部品や素材などの供給が滞り、SCの脆弱性が露呈した。国内投資促進と海外SC多元化支援の2本立てでSC改革を進める。
 国内回帰促進には2200億円を計上した。特定国の生産設備を国内に移転する場合、中小企業には工場建設や設備導入費用の3分の2、大企業には2分の1を補助する。
 日本に供給する製品、部素材の生産拠点をアジアなどで複線化する場合も、中小企業は3分の2、大企業は2分の1を補助する。予算額は235億円。マスクなど衛生関連製品、自動車、電気電子、医療機器、レアメタルなどを念頭に置く。
 感染拡大防止策と医療提供体制の整備、治療薬開発は厚生労働省が中心だが、経産省も計227億円を確保し、必要な対策を講じる。
 緊急性の高いマスク・消毒液の確保、「アビガン」・人工呼吸器などの確保に117億円を計上、補助金により企業の設備導入を促す。マスク・アルコール消毒液は中小企業が設備費の4分の3、大企業・中堅企業には3分の2を補助する。アビガン、人工呼吸器、人工肺(ECMO)は全額を補助する。
 感染症対策技術の開発には110億円を盛り込んだ。簡易・迅速かつ分散的なウイルス検査、感染拡大防止に向けたシステム開発、重症患者の治療機器へのニーズに対応する。具体的にはウイルス検出用チップ、デバイスの開発、モニタリングシステムおよび車載ユニットの開発、実証などが対象。国のプロジェクトとして産学官連携で取り組む。

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