デンカは2日、富士フイルム富山化学の「アビガン」の原料となるマロン酸ジエチルの供給を始めると発表した。デンカ青海工場(新潟県)にある休止設備を再稼働し、5月から生産を開始する。新型コロナウイルス感染症治療薬としてアビガンの薬事承認が日本でも進むなか、原料からの国内一貫生産体制を構築したいと政府の要請に基づき決定した。
 マロン酸ジエチルは、香料や農薬、医薬品などの原料に使う有機化合物。アビガンにも利用されている。デンカは国内唯一のマロン酸ジエチルメーカーとなり、2017年4月まで生産していた。また、その原料のモノクロル酢酸もグループのデナックで製造している。
 供給に際しては、17年に休止したプラントを再稼働し、迅速な立ち上げにつなげる。他製品を手掛ける生産ラインからの人員配置・転換を行うことから、一部製品で減産などの影響が見込まれるとしており、確定次第、公表する。
 新型コロナウイルスの流行が止まらないなか、日本でもアビガンの薬事承認を目指す臨床試験が動いている。そのため、富士フイルム富山化学も富山工場(富山県)でアビガンの増産を打ち出している。
 ただ、アビガンの安定供給を図る上で、海外に原料を頼ることのリスクが大きいことから、政府は国内での一貫生産を志向。国産原料が必要だとして、デンカにマロン酸ジエチルの供給を求めていた。

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