米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は14日、2020年の売上高予想について、当初の計画から最大64億ドル(約6800億円)下方修正したガイダンスを発表した。新型コロナウイルスの対応を優先するため一部の外科手術が延期されており、同社売上高の約3割を占める人工関節事業が伸び悩んでいる。解熱鎮痛剤がある一般用医薬品(OTC)事業は好調だった。ただ影響は短期的とみており、年末には回復してくると見込んでいる。新型コロナが世界的流行となってから決算発表を行った最初の大手製薬企業になる。

 今年1月に発表した今期(1~12月)の売上高予想(858億~866億ドル)について、40億~64億ドル引き下げるガイダンスに修正した。前年比で横ばいか3%超のマイナスになる。14日に開催した第1四半期決算のカンファレンス・コールによると、新型コロナの影響が短期間にとどまるとの前提で予想した。米研究機関の感染予測モデルに基づき、米国と一部の欧州は4月中旬頃に感染がピークアウトするとみている。

 とくにマイナスの影響を受けているのが、売上高の約3割を占める医療機器部門。主力製品が関連する人工膝関節置換術などは、新型コロナ対応より優先度が低いとして後回しになっているという。第1四半期の売上高は前年同月比8%減だった。今年後半にはこうした手術や診療が回復してくるとみている。

 プラス影響があるのはOTC事業。米国ではインフルエンザの流行もあって「タイレノール」など解熱鎮痛剤の販売が急増。OTC事業は同3割、コンシューマー事業全体では同1割近く増収となった。

 売上高の半分を占める医療用医薬品部門は同9%増収。診療機会の減少はあるが売り上げへの影響は限定的とみている。

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