JSRで3Dプリンター事業を行うカーボン事業推進部が、医療従事者の感染症防止などのために用いられるフェイスシールドの量産を開始する。慶応義塾大学病院に向けて、週間で500~1000個のフェイスシールド供給を今後1週間程度で始める。サンプルの試作にかけた時間はわずか4日程度。開発から量産まで速やかな展開が可能な3Dプリンターの強みを、新型コロナウイルス対策で生かす。

 JSRは3Dプリンターメーカーのカーボン社(カリフォルニア)に2016年から出資し、先端的なデジタル技術である3Dプリンターの可能性を探ってきた。これまでの累計出資額は約4500万ドル。フェイスシールドの設計と製造説明書をオープンソースにし、世界各地で製造が可能とした。新型コロナウイルスの感染拡大にともなうう需要増にグローバルで対応できる体制を整えている。

 国内ユーザー向けにカーボンの3Dプリンター販売を担うJSRカーボン推進事業部は、公開された設計データを利用し量産準備を行った。JSRのネットワークも駆使し量産体制を速やかに準備。カーボンの3Dプリンターを導入し受託製造に対応するアトラス(神奈川県相模原市)、クリモト(愛知県岩倉市)、大阪銘板(東大阪市)の3拠点から供給を行う。

 量産するフェイスシールドは慶応義塾大学病院の医療従事者による利用を想定している。3Dプリンターで作製するブラケット部品は都度消毒し再利用が可能。一方、クリーン環境で製造される透明なバイザー部品は使い捨てを想定している。今後は「スーパーやコンビニをはじめ、対面での業務を強いられる従事者向けにも提供していきたい」(澤田安彦カーボン事業推進部部長)と採用拡大にも意欲をみせる。

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