プラスチックの循環利用を目指す団体「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」(CLOMA)が設立4年目を迎えている。今年4月にプラスチック資源循環促進法の施行を控えるなか、3Rの新たな取り組みや代替素材の開発・導入に向けた官民連携の推進役として、さらに期待が寄せられている。

 プラスチックは便利でわれわれの生活に欠かせないものだが、増え続ける海洋プラごみが生態系に与える影響は無視できず、世界的な課題となっている。2019年1月18日に発足したCLOMAは、一般消費者向け商品のサプライチェーンを担う企業が中心となり、蓄積した技術やノウハウを持ち寄って、海洋に流出するプラごみのゼロ化を目指して活動を続けてきた。

 50年までに容器包装などのプラスチック製品100%リサイクルを目指すことをアクションプランに掲げ、その取り組みには原料製造を担う化学メーカーや容器メーカーをはじめブランドオーナー、リテーラー、リサイクラーなど幅広い企業や団体が賛同。会員数は設立時の159社・団体から22年1月末現在で461社・団体へと拡大した。

 CLOMAの最大の特徴は、普段は市場競争でしのぎを削る各社が利害関係を排して連携しているところだ。各部会にはコンペチター同士が手弁当で参加し、ビジネスマッチングや技術セミナー、情報発信などの啓蒙活動に努めている。技術部会は年に数回のセミナー・交流会を行い、自治体や省庁も巻き込んで情報共有を密にしてきた。

 発足から丸3年が経ち、会員各社の積極的な参画で多くの成果が挙がっている。個別企業同士の共同事業化案件は19年に6件だったものが、21年は20件に拡大した。他方で現状に満足せず、今後は個々の活動を収束させながらプラごみ対策の社会システムの構築を目指してもらいたい。

 そもそも資源循環社会の実現は個社や一業界の取り組みでは限界があり、自治体や消費者、他業界も交えた総合的な取り組みが欠かせない。また、欧米では回収やリサイクルの義務化や強制をうたう法律も多いが、PETボトルリサイクルなどで自発的取り組みが進んできた日本には、強制の仕組みは馴染まない。

 その点、さまざまな業種に加えて、多くの自治体もオブザーバー参加するCLOMAは、資源循環社会を目指すプラットフォームとしてうってつけの存在だ。プラ新法の施行で国全体でサーキュラーエコノミーを考える機運が高まるなか、ポスト・コンシューマー・リサイクル(PCR)のモデル作りなど、社会実装の旗振り役を担ってほしい。

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