化学やエレクトロニクス、機械などを主力分野とする専門商社が新たな取り組みを進めている。いわゆる口銭ビジネスからの脱却への取り組みが具体化するなか、国内外のさまざまな企業と連携でビジネスの範囲を広げているようだ。テーマも化学や医療に関わる原材料や装置、DX(デジタルトランスフォーメーション)サービスの提供など多岐にわたる。これらビジネスを円滑に進めるために組織の見直しも行っている。

 近年注目を集めるDX関連のビジネスでは、機械商社である西華産業の動きが注目される。手作業で行われてきた設備や材料の検査、確認をデジタル化するサービスを提供する考え。超音波検査装置搭載ドローンを利用したプラント設備点検サービスや、土木工事で使用する土砂の品質を画像解析技術で測定する装置などを提案している。

 同じ機械商社の第一実業は化学分野へアプローチしている。2月に蘭アバンティウムと、日本国内での触媒評価装置と同装置の技術を用いた受託解析について販売総代理店契約を結んだ。装置と周辺機器を組み合わせ、触媒評価を自動化するシステムとして提案するという。

 エレクトロニクス商社の東京エレクトロンデバイスは、医療機器のODM(相手先ブランドによる設計・生産)ビジネスを進めている。開発・製造機能を持つグループ企業やパートナー企業と協力し、医療機器メーカーを対象に完成品に近い検体検査装置を提供するそうだ。

 一方、新ビジネスを円滑に進めるため、組織変更の一環として事業セグメントを刷新したのが、エレクトロニクス商社の丸文と佐鳥電機。丸文は4月、新セグメントのソリューション事業を創設した。同組織がハブ機能を担い、既存セグメントのデバイス事業とシステム事業が保有する商材とAI(人工知能)、ネットワーク技術などを融合。新たなソリューションを開発・提案する方針。

 また佐鳥電機は、事業セグメントを顧客、市場別に変更している。狙いは市場基点での顧客アプローチ強化とセグメント内の協働活動による高収益実現、新規事業開発機能の強化など。産業インフラ、エンタープライズ、モビリティ、グローバルの4セグメントでデバイスとソリューションの共創力を市場領域別に発揮していくという。

 いずれの専門商社もグループ企業や国内外のベンチャーを含む幅広い分野の企業と連携を図り、新ビジネスに取り組んでいるのが特徴だ。系列に左右されない自由な活動が日本経済復活の起爆剤になることを望みたい。

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