宇部興産は22日、抗インフルエンザ薬「アビガン」向け中間体の供給に乗り出すと発表した。7月から宇部ケミカル工場(山口県宇部市)内にある医薬品工場でスタートする。既存プラントを活用することで対応可能といい、生産量などの詳細は明らかにしていない。新型コロナウイルス感染症に対する治療効果がアビガンで期待されるなか、供給体制を整えていく。

 供給を行うのは、アビガン原薬の主骨格を担う中間体。宇部興産はアビガン向けの中間体を2009年から10年にかけて手掛け、製造・供給実績を持つ。今回、アビガンを開発・製造する富士フイルム富山化学の要請を受けて、再生産することとした。

 新型コロナウイルス感染症に対する治療薬候補の一つとして、国内外でアビガンの治験が進む。日本政府もアビガン備蓄量を200万人分にまで拡大する方針を決定。併せて、富士フイルムも国内外での需要増に応えるため、月産能力を今年9月までに30万人分へと引き上げる計画を打ち出している。

 アビガンの生産拡大にともない、課題となるのがサプライチェーン(SC)の整備だ。足元、官民を挙げ、国産化にも取り組んでいる。政府の求めに応じてデンカが原料マロン酸ジエチルの生産再開を5月に始めるほか、カネカや富士化学工業(富山県上市町)が原薬を製造・増産することをそれぞれ発表している。

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