「コロナショック到来」―。新型コロナウイルスの感染拡大による日本経済への打撃が日ごとに深刻さを増している。政府によるインパクト・実効性ある経済対策が今こそ待たれる。
 帝国データバンクが先ごろ行った調査によると、新型コロナによって工場や店舗の休業、防疫措置など、何らかの影響を受けた上場企業は昨年12月から今年3月15日までの時点で749社あり、上場企業全体の約2割に上った。最も多い業種は製造業251社、次いでサービス業161社だった。影響を受けた749社のうち、具体的な影響も含め業績へのマイナスに言及したのは337社だった。
 工場などで生産調整や稼働停止といった影響が出た企業は87社。1月末から2月中旬にかけて、主に中国国内での操業停止といった動きが相次いだが、その後は部分稼働などで再開する企業が多くみられるという。
 しかしコロナショックによる国内の景気後退が鮮明になってくるのは、これからだと考えられ、製造業への影響についても予断を許さない状況が続く。また、すでに報道されているように小売業やサービス業は多くが深刻な状況にある。店舗や拠点の休止、営業時間短縮といった影響が出た企業は84社。サービス提供・イベントなどの開催中止・延期は109社に上る。倒産・廃業する宿泊施設や飲食店も、もはや珍しくない。
 日銀は約3年半ぶりの追加緩和策で、企業の資金繰り支援を強化する。中小企業の資金繰りを支えるため、融資を行う民間金融機関向けに金利ゼロで資金を貸し出す制度を創設する。日本政策金融公庫や地方自治体でも資金繰りの支援について相談窓口を設けているが「融資を受けたとしても今の状況では返済する見通しが立たない」といった声も挙がる。
 与党は4月にも策定される緊急経済対策について、昨年末の経済対策を上回る30兆円超の規模とするよう政府と調整に入った。全国民への直接の支援策として現金給付、消費税減税、公共料金や社会保険料の支払い猶予などが検討されている。しかし現金給付については「貯蓄に回り消費拡大につながらない」「ばらまきに過ぎない」と、やはり評判は良くない。消費税減税は消極論が多く、見送られそうだ。公共料金などの支払いを猶予しても結局、後で払わなければならず、負担は変わらないのではないか。その前に財源はどうするのか―。
 株価は乱高下している。毎度対応が遅い日本政府だが、ここは国民から目線をそらさず、真摯かつ早急に実効の挙がる策を打ち出して欲しい。

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