新型コロナウイルス感染拡大が続くなか、産業機械各社は独自技術による対策製品の提案を活発化している。緊急事態宣言解除後も感染者の増加傾向が続き、経済活動と感染抑制の両立が課題となっている。各社、さらに技術に磨きをかけ、ニューノーマル(新常態)時代に欠かせないアイテムとして本格的な普及を目指してほしい。
 アズビルは、新型コロナ対策に最適な病院向けパンデミック対応空調システムを提案している。病院内の空調圧力を感染症病床にスムーズに切り替えるシステムで、すでに化学、製薬業界で実績を持つ。
 感染症患者の受け入れが可能な第一種感染症指定医療機関は全国にあるが、ウイルスが外部に漏れないよう空調を陰圧にする必要がある。ただ、そのための装置などを備えた病室を設け、平時もベッドを空けておくのは病院経営の圧迫要因となる。アズビルの風量制御バルブ「インフィレックスVN」は、平時は「等圧」、感染症患者が増えると「陰圧」へ切り替え可能。すでに大規模総合病院では納入実績を有する。今年に入り大規模病院以外の中小規模の病院から問い合わせが相次いでおり、安全・安心に貢献するシステムとして普及を目指す。
 三菱重工業は、医療機関向けの陰圧クリーンエアシェルター「Me-CAS」を開発、提案活動を始めた。内部は大気圧より約3パスカル低く、内部からウイルス流出を防ぐ。軽量で迅速に展張設置できる可搬式。医療用HEPAフィルターを備えた排気システムで、1時間に6回以上換気ができる。感染の疑いのある患者やPCR検査、発熱者の待機所など、一時的に隔離ニーズのある状況に応える。
 大気社は、医療従事者への飛沫感染リスクを防ぐ移動式高性能エアバリアユニット「エア・インフェクション・ブロック・プラス」を開発した。陰圧式などの隔離病室を持たない病院や診療所向けに紹介する。
 IHIと、グループのIHIアグリテックは、感染制御機器の大幅な増産体制を整えた。HEPAフィルター付き空気清浄機「オゾンエアクリアeZ-100」の生産を5倍にし、「同JS-7000」は月70台まで増産。アフターコロナの標準的予防措置となり得る機器として、旺盛な需要に対応していく。
 産業機械各社では、豊富な実績と知見を持つ優れた環境関連技術を駆使することで、高度な空調技術をはじめ除菌・殺菌技術など、さまざまな機能を組み合わせ製品開発を進めている。今後はニューノーマルの時代に即した製品として定着させ、社会ニーズに応えてほしい。

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