世界有数の大型放射光施設「SPring-8」は、新型コロナウイルス感染症関連研究に特化して活動を継続する。たんぱく質結晶解析ビームラインを利用した創薬関連研究を支援するもの。緊急事態宣言の対象である兵庫県に位置し7日から他の実験は中止するが、新型コロナ関連課題については速やかに実施する。
 抗ウイルス薬は一般的に、細胞への侵入・増殖・放出のいずれかを阻止することで感染を防ぐ。それぞれの働きの主役はウイルスを構成するたんぱく質や核酸。その働きを抑える化学物質(薬剤候補物質)を探索し設計することが創薬研究の目的となる。たんぱく質や核酸と化学物質を結晶化したものをSPring-8で測定して分子の立体構造を決定し、薬剤設計に役立てる。
 緊急事態宣言の対象である兵庫県に位置しており、7日からユーザー利用を停止している。今回、抗ウイルス薬の探索と分子設計に関する研究に限り、関連する3本のビームラインを開く。
 成果を公開する学術利用を念頭に、公共性と緊急性が高い極めて重要な研究テーマについては、直ちに実験が可能な「緊急課題」として受け付ける。産業利用で成果を公表しない課題でも、新型コロナウイルス感染症関連であれば対応する。
 安全審査は従来と同一基準で行いバイオセーフティレベル1に限る。来所実験は不可能で、自動測定および遠隔測定が基本となる。

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