三菱総合研究所は、新型コロナウイルス感染症の拡大に対する経済対策を提言した。昨今の感染症を通じて、社会活動におけるデジタル技術の有用性が再認識されたと指摘。遠隔診療や遠隔投薬をはじめオンライン学習、キャッシュレス導入の拡大、自動運転、MaaS(モビリティアズアサービス)、ドローン物流の加速など、デジタルシフトによる感染症・自然災害・人口減に強いスマート社会創出の必要性を訴えた。

 消費税増税の影響にコロナ危機が加わり、日本経済が深い景気後退局面入ったことに言及。経済活動抑制のピークアウトが6月末の場合、日本のGDP成長率は2019年度が前年比マイナス0・3%、20年度が同0・5%と予測した。また、12月末ピークアウトの場合、20年度はマイナス幅が同1・7%まで拡大するとした。

 こうしたなか、新型コロナウイルス対策として、各方面でデジタル技術を活用する動きが活発化。医療分野では、オンライン診療で受診者と医療従事者双方の負担を軽減し、感染症流行時には医療機関が感染源となるリスクを抑制。教育分野は、オンライン教育拡大の必要性が高まっており、長期休校に対する措置にとどまらず、社会経済のデジタルシフト進展下で避けられない取り組みだとした。

 今回の感染症により、企業の仕事や市民の消費行動の変容がみられた。多くの企業がリモートワークに移行し、在宅勤務を基本とする働き方を一時的に導入。宅配を利用する「巣ごもり消費」が拡大した。企業での働き方は今後大きな変化が予想され、近年の人手不足を背景に、製造現場やサービス分野でロボット導入が加速する。

 さらに旅行、宿泊、飲食、レジャーなど外出ビジネスの変革も求められる。外出目的と交通手段を連動させるMaaSをはじめ、デジタル技術を活用した消費行動のサービス化などイノベーションの余地は大きい。これら仕事や消費の変容は、業務改革やビジネス創出のチャンスであり、スタートアップなどによる柔軟な発想を取り込んだイノベーション実現が期待される。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

新型コロナウイルスの最新記事もっと見る