新型コロナウイルスの影響が食品の容器包装市場にも及んでいる。3月から全国で始まった小中高校の休校やその後の外出自粛要請などにより自宅で過ごす人が増加し、食品や生活必需品を買い込む“巣ごもり需要”が発生。食品スーパーではこれまでバラ売りされていた総菜やパン製品が個包装に切り替わり、プラ容器や軟包装材の使用量が増えている。カップめんや冷凍食品などの加工食品も売れており、容器包装材料メーカーも対応を進めている。

裸売り消えた

 食品スーパーの衛生管理の徹底が包材需要に変化を与えた。「ライフ」を全国展開するライフコーポレーションは2月に入り、これまでバラで裸売りしていた揚げ物などの総菜をふた付きのプラ製フードパックに入れて販売する形式に切り替えた。総菜を陳列するショーケースを導入した店舗もある。ベーカリーコーナーではパンも袋詰めして販売している。

 業界最大手のイオンは3月3日から全国の店舗で「お客様がトングを使って選ぶ食べ物を個包装している」(広報担当者)。総菜やパン、鮮魚などの商品を透明フードパックやOPP製の袋、紙の包装資材などに入れ提供。こうした資材は普段より多めに調達しているという。

一斉休校契機

 いち早く対応したのは食品プラ容器最大手のエフピコ。耐熱性を有し総菜などに対応したOPET製フードパックを2月後半から増産し始めた。「休校以降、特需のようになっている」と担当者は話す。

 鮮魚に比べ冷蔵・冷凍保存で日持ちする精肉が売れていることから引き合いが出ているPSPトレーの生産も増やしている。通常は設備を動かしていない土日も稼働させることでいずれも対応している。

 休校や在宅勤務の広がりは、家で手軽に食べられる加工食品のパッケージ需要にも拍車をかけた。首都圏では3月の売れ行きが「カップめんで前年同月比約6割、冷凍食品で約4割増えた」(ライフ広報担当)という声も。レトルトや菓子パン類も売れている。

増産なお続く

 食品容器を全国4カ所の工場で生産する東名化学工業(愛知県小牧市)では、カップめんメーカーからの受注増に合わせ同月から設備の稼働時間を延長した。前年同月に比べ生産量は2割ほど増えており、担当者は「4~5月も需要は同様の状態が続くだろう」と見ている。

 冷凍食品やレトルト、調味液などのパッケージを手がける大手コンバーターの凸版印刷は「2、3月は増産対応している状況」。生産体制は変わらないが、優先度を決めながら工場で生産品の組み込みを行っている。エフピコでは冷凍食品の内容物を納めるトレーの引き合いも伸びている。

 政府が発出した緊急事態宣言の効力は来月6日まで。少なくともこの期間までは、こうした製品を含む日配品の需要は続きそうだ。

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