米メルク日本法人MSDのカイル・タトル社長らはこのほど都内で会見し、2021年の日本事業の業績などを説明した。国内売上高は、昨年12月に特例承認を受けた新型コロナウイルス感染症経口薬「ラゲブリオ」を牽引役に前年比7・5%増となる2890億円とプラスを確保した。ただ、ラゲブリオを除くと1・5%増にとどまり、薬価改定などの影響が直撃した格好だ。

 21年は「非常に堅調な年」(タトル社長)との認識で、ラゲブリオのほか、日本で接種勧奨再開となったHPVワクチン「ガーダシル」、抗がん剤「キイトルーダ」などが数量を伸ばした。ただ、薬価改定に加えて、類似薬の薬価も引き下げる「道連れ再算定」にキイトルーダが巻き込まれたことが押し上げ要因となった。

 とくにキイトルーダは、適応拡大によって数量は伸ばしているものの、度重なる薬価改定から売り上げは減り、「大きな課題に直面している」(同)。同社としても制度改善に向け、厚生労働省と「対話を重ねていきたい」(同)とした。

 22年については、オンコロジー、ワクチン、スペシャリティ、プライマリーケアの4領域を重点対象と優先事項に位置づける。オンコロジーの場合、キイトルーダを基盤に、併用療法などの開発に力を注ぐ。ワクチンでは、ガーダシルなどHPVワクチンを接種対象者に「確実に届けたい」(同)とし、啓発キャンペーンを進める方針を掲げた。

 また、ラゲブリオに関しては、4月12日までに日本では「約15万人に使われた」(白沢博満上級副社長)といい、現状、安全性に大きな問題はないとした。投与実績調査も順調に進んでいるため、データとしてまとまり次第、論文として発表する考えも明らかにした。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

セミナーイベント情報はこちら

新型コロナウイルスの最新記事もっと見る