政府は新たに「バイオプラスチック導入ロードマップ」を策定した。「プラスチック資源循環戦略」に基づき、バイオプラスチック製造事業者や製品メーカー・ブランドオーナーの利用事業者、小売り・サービス事業者などに向けて基本方針や導入に向けた施策を示すもの。製品別方針では、細目を含め12の領域について詳述したほか、導入事例集や導入目標集の作成、グリーン購入法による政府調達の推進といった利用促進に向けた施策を明示している。しかし最大の課題である導入によるコスト増については「最適化を目指す」にとどまっており、実現に向けさらなる議論が必要だ。

 2019年に策定した「プラスチック資源循環戦略」では、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための重点戦略の一つとして、用途や素材などにきめ細かく対応した「バイオプラスチック導入ロードマップ」を策定することが掲げられている。静脈システム管理と一体となって導入を進めるとともに、国民の理解と連携協働の促進により、30年までにバイオマスプラスチックの最大限(約200万トン)導入を目指す方針だ。

 ロードマップの原則は(1)回避可能なプラスチックの使用を合理化し、無駄に使われる資源を徹底的に削減する(2)バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの双方の環境負荷低減効果などの価値を最大限生かす-の2点。原料、供給、コスト、使用時の機能、使用後のフローにおけるリサイクル調和性などの影響、環境・社会的側面の6点について基本方針をまとめるとともに、導入に向けた国の施策の利用促進、消費者への訴求・普及啓発、研究開発・生産体制の整備、調査・フォローアップの4点に整理。研究開発・生産体制では研究・開発・実証事業や事業者による製造設備の導入などに対する支援を謳う。

 課題の一つはコスト。従来の化石資源由来プラスチックと比べたバイオマスプラスチックの単価はバイオPEで約3倍、バイオPETで約1・5倍。また生分解性プラスチックではPLAが約2~3倍、PBAT(石油由来)が約2~2・5倍、PBAT(バイオマス由来)は約4~5倍となっており、これが需要が増加しない大きな要因と分析している。

 実際の導入にあたり、産業側には付加価値向上や低コスト化を可能とする製品・技術開発が求められるが、それと並行してコスト負担に関する、さらに突っ込んだ議論が必要だろう。国を越えて物が行き来するグローバル経済の下、実現に向けてはワールドワイドな視点での戦略構築が欠かせない。

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