出光興産は6日、2020年4~6月期決算を発表し、813億円の純損失(前年同期は359億円の純利益)を計上した。コロナ禍とともに生じた原油価格の下落や燃料油販売量の減少、基礎化学品のマージン悪化といった要因が業績を直撃した。また、香港での送金詐欺により38億円の損害が発生したことも明らかにした。

 売上高は前年同期比33・4%減の9828億円、営業損失は707億円(前年同期は339億円の利益)、経常損失は994億円(同346億円の利益)だった。同社が業績指標として重視する営業利益と持分法投資損益の合計額は、975億円の損失(同327億円の利益)だった。

 セグメント別でみると、燃料油で生じた944億円の在庫損失が全体の業績を押し下げた。基礎化学品の利益は同97・6%減となる1億円で、パラキシレンやスチレンモノマーのマージンが前年同期比で30%以上縮小したことなどが響いた。

 今回の決算では、100%子会社の出光ケミカルズ香港が送金詐欺にあい、38億円の特別損失を計上した。詳細については捜査に協力中のためコメントしなかった。香港を拠点とする出光ケミカルズ香港は、中国などアジア地域に向けてポリカーボネート(PC)やシンジオタクチックポリスチレン(SPS)のコンパウンドを販売している。

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