味の素とJSRは27日、バイオ医薬品の研究開発や製造で細胞培養に用いる「培地」事業のグローバル展開で協業すると発表した。味の素はJSRが開発した新規培地を製品ラインアップに加え、韓国子会社を通じて12月に発売する予定。

 今回の協業で、味の素はJSRが新たに開発した高性能培地の組成を譲受し、味の素韓国子会社味の素ジェネクシン(AGX)が製造してアジアを中心に「CELLiST BASAL CHO MX」の製品名で販売する。一方、JSRは欧米市場での同製品の独占販売権を取得し、発売していく。

 JSRが開発した培地はバイオ医薬品の製造に多く用いられるチャイニーズハムスター卵巣細胞株(CHO細胞株)の1種で、JSRのスイスグループ会社セレキシス独自のCHO―M細胞株に最適化したもの。上市されている従来の製品以上に高い抗体生産性を発揮することが確認されているという。

 バイオ医薬品の研究開発・製造用培地は、抗体医薬品やワクチンの需要増加や細胞・遺伝子治療の拡大などから世界市場は年率10%以上で伸長し、2030年には150億ドルを超える規模に成長すると予測されている。これにともない、CHO細胞株用培地も、一層の需要増が見込まれている。

 味の素は培地の重要原料であるアミノ酸のグローバルサプライチェーンなどを強みに、バイオ医薬用培地事業を手がけている。JSRは創薬支援サービスや抗体医薬精製工程で用いられる材料などを展開している。両社はそれぞれの事業基盤や販路を活用し、新たな協業で拡大する培地需要を取り込む。

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