塩野義製薬の手代木功社長は、11日に開催した決算説明会で、開発中の新型コロナウイルス感染症経口薬「S―217622」の海外生産の検討に入ったことを公表した。インドと北米で実施し、原薬から製剤まで現地で生産可能な体制を整える。「年内にはめどをつけたい」考えで、まず出発原料を調達し、現地で原薬をつくれるようにする。複数拠点での製造を通じ、安定供給につなげる。

 現在、塩野義は同薬を子会社シオノギファーマで生産している。2月の承認申請に先立ち、昨年末からプラントを動かしており、足元、100万人分の生産を完了し、「いつでも出せる」としている。目下、増産にも取り組み、年1000万人分以上の自社供給体制構築を目標に掲げている。

 ただ、出発原料を中国から購入しているほか、製剤化も国内でしかできない状況。今後、同薬の海外供給も視野に入れるなか、「サプライチェーン(SC)多様化の観点から取り組む必要がある」と判断し、準備にとりかかることとした。

 一方、最終段階の治験を実施中の新型コロナワクチン「S―268019」については、「6~7月には承認申請したい」と語った。5本ある最終治験のうち、アストラゼネカ(AZ)製ワクチンとの中和抗体を比較する試験、追加免疫比較試験の2本については月内にも結果速報が出る見通し、「自信を持って勧めたい」と力を込め、引き続き、初回免疫、追加免疫それぞれで適応取得を目指す構えだ。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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