厚生労働省は14日、米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」(有効成分名・トジナメラン)を特例承認した。日本で承認された最初のコロナワクチンになる。17日にも医療従事者に対する先行接種が始まる。

 コミナティは昨年12月18日、ファイザー日本法人により承認申請された。海外の大規模治験結果を先に提出して審査を進め、国内治験のデータも1月末に出した。海外で使用されている医薬品などで、緊急時に承認審査を大幅に短縮できる「特例承認」が適用され、約2カ月での承認となった。まず国立病院機構の医師など1万~2万人に対する先行接種が、17日にも始まる。

 国内治験は20~85歳の健康成人160例を登録して安全性や免疫原性を検証し、中和抗体が海外データと同等以上に上昇する結果を得た。安全性評価も海外と同様で、ワクチン接種者の約8割が注射部位の疼痛、6割が疲労、4割超が頭痛を経験した(いずれも接種2回目の発現率)。重篤な有害事象はなかった。海外治験は主に16歳以上の約4万3000例超を登録し、発症予防効果を示す有効率95%を記録している。

 これらのデータから有効性、安全性が確認できたと判断、国内初となるコロナワクチンの承認にいたった。最近増えている各国の変異株に対しても、企業の提出データなどから一定の有効性があると評価した。

 承認した対象年齢は16歳以上。原則3週間ごとに2回接種する。妊婦や虚弱な高齢者、基礎疾患がある人などは「接種要注意者」とし、医師が健康状態や体質などを考慮した上で接種を判断する。ワクチン含有成分に対して重度の過敏症の既往歴がある人、明らかな発熱がある人や重篤な急性疾患がある人などは接種対象外。

 日本向けの同ワクチンは、ファイザーのベルギー工場やビオンテックのドイツ工場で製造される。日本へ空輸された後は、専用の配送箱を使って国内輸送。長期保存にはマイナス90~マイナス60度Cの超低温冷凍庫が必要だが、5日ごとにドライアイスを補充すれば同配送箱でも最大15日間保存可能という。解凍後は通常の冷蔵条件(2~8度C)で最大5日間保存できる。

 日本政府は年内に1億4400万回分(7200万人分)の供給を受ける契約をファイザーらと結んでいる。 

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