エーザイは28日、米バイオジェンと開発中のアルツハイマー病(AD)治療薬「レカネマブ」の国際第3相臨床試験(P3)の結果を公表し、主要評価項目を達成したと発表した。併せて、全副次評価項目でも有意な結果だったことを明らかにした。今回の結果に基づき、エーザイは年度内の米国でのフル承認申請と、日本と欧州での承認申請を目指す考えだ。

 今回のP3は、脳内にアミロイド病変が確認されたADによる軽度認知障害(MCI)と、軽度ADを抱える日米欧の1795人を対象に行った。プラセボ(偽薬)対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化の試験デザイン。米国での治験参加者の約25%がヒスパニック系とアフリカ系米国人で、同国の高齢者向け公的保険「メディケア」加入者と同じような分布となっている。

 P3の結果を解析したところ、投与18ヶ月時点で、偽薬投与群と比べて、レカネマブ投与群は認知症の重症度を評価する指標で27%の悪化抑制を示した。脳内アミロイドの蓄積状況も全項目で有意な差をみせたほか、レカネマブ投与による副作用も想定の範囲内だったとしている。

 レカネマブはAD原因物質とされるアミロイドベータ(Aβ)の脳内蓄積を除去する抗体医薬。米国では今年7月に迅速承認制度に基づく申請が米国食品医薬品局(FDA)に受理され、審査終了目標日が来年1月6日となっている。日本でも医薬品事前評価相談制度を活用し、関連データを医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出している。

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