★KHネオケム

 KHネオケムの2021年1~6月期決算(日本基準)は、純利益が前年同期比233・2%増の56億円だった。半期ベースで過去最高益を達成した。通期業績予想を上方修正し、過去最高益を大幅更新する見通しになった。年間配当も60円から65円に増配する。市況が高騰した基礎化学品事業が業績をけん引した。

 売上高は同40・6%増の523億円、営業利益は同226・5%増の78億円、経常利益は同233・0%増の80億円だった。

 営業利益で前年同期比54億円の増益を達成した。内訳をみると、基礎化学品事業が前年同期比35億円の増益で37億円の営業利益を計上し業績をけん引した。ナフサ価格の上昇や需給バランスのタイト化で市況が高騰した上、販売数量も増加した。機能性材料事業では前年同期比14億円の増益となる42億円の営業利益を計上。販売数量の増加が主因となった。

 修正後の通期業績予想では売上高1120億円、営業利益155億円、経常利益159億円、純利益110億円を見込む。全ての利益段階で過去最高となる見通し。

★クレハ

 クレハの2021年4~6月期決算(国際会計基準)は売上収益が前年同期比20・3%増の378億円だった。本業のもうけを示すセグメント別営業利益の合計額は同67・6%増の42億円。機能製品事業で10億円のセグメント益(同3億円のセグメント損失)を計上し、業績回復をけん引した。家庭用ラップを販売する樹脂製品事業も増収増益で堅調だった。

 連結営業利益は同69・4%増の43億円、純利益は61・2%増の33億円だった。通期業績予想に対する進捗率は、純利益で30・8%に達した。通期業績予想は据え置いた。

 セグメント別にみると、機能製品事業の売上収益は同65%増の142億円だった。リチウムイオン2次電池(LiB)のバインダー向けフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)や、新プラントが稼働開始したエンプラのポリフェニレンサルファイド(PPS)が堅調だった。シェールオイル・ガス掘削向けポリグリコール酸(PGA)事業も販売が増加した。

★エア・ウォーター

 エア・ウォーターの2021年4~6月期決算(IFRS適用)は、事業環境の回復が鮮明になるとともに、構造改革による収益改善が寄与し全事業で増収増益を達成した。第1四半期の業績としては新型コロナ以前の水準を上回る順調な結果となった。

 産業ガス関連事業はエレクトロニクス向けのガス供給や特殊ケミカル・機器販売、インドでの産業ガス事業が高水準で推移。ケミカル関連事業は電子材料の増販とともに、前年度にコロナ禍で打撃を受けた基礎化学品分野の需要回復と市況好転により収益改善が進展した。医療関連事業も病院向けビジネスの事業環境が回復基調で推移したのに加え、感染対策製品の需要が底堅く推移した。

 第2四半期以降も事業環境の回復基調は継続することから、通期業績予想を売上収益8900億円、営業利益630億円に上方修正。営業利益については現中期経営計画の最終目標を超過達成する見通し。

★日本板硝子

 日本板硝子の2021年4~6月期決算は増収増益となった。建築、自動車、高機能ガラス各部門で利益が伸び、業績予想を上方修正した。売上高は前年同期比60・7%増の1476億円、営業利益71億円(同6億900万円の損失)、純利益25億円(同164億円の損失)だった。

 セグメント別営業利益は、建築用ガラスが61億円(同125・9%増)。主力の欧州はおう盛な需要で出荷が増えた。自動車用ガラスは13億円(同29億円の損失)。需要回復が目立ったが、半導体不足の影響も受けた。高機能ガラスは倍増の28億円。ファインガラスは事業基盤強化や売上構成の改善が寄与。情報通信デバイスは販売数量が増えた。

 第2四半期および通期業績を上方修正した。売上高2800億円(前回予想比300億円増)、営業利益120億円(同20億円増)、純利益80億円(同10億円増)を見込む。上期の上昇分を反映し、通期予想も売上高5600億円、営業利益240億円、純利益100億円に見直した。

★コスモエネルギーホールディングス

 コスモエネルギーホールディングスの2021年4~6月期決算(日本基準)は純利益が279億円(前年同期は260億円の純損失)だった。主力の石油事業で原油価格上昇に伴い石油製品のマージンが良化した影響を受けた。石油製品製造の起点となる常圧蒸留装置(トッパー)の稼働率が99・9%と高稼働を果たしたことや、石油化学事業の市況回復も業績向上につながった。

 売上高は前年同期比20・4%増の5296億円、営業利益は482億円(前年同期は280億円の営業損失)、経常利益は496億円(同283億円の経常損失)だった。

 在庫影響除き経常利益は前年同期比243億円増益となる302億円だった。増益要因をセグメント別に分解すると、石油事業が前年同期比147億円の増益で最も業績をけん引した。販売数量の回復や定修影響の解消に伴う製油所の高稼働が増益につながった。また、前年同期比113億円の増益だった石油化学事業も業績に貢献した。エチレンやベンゼン市況の改善や、前期に発生した丸善石油化学の定修影響解消で増益となった。

★日本パーカライジング

 日本パーカライジングの2021年4~6月期決算は、営業利益が前年同期比2・5倍の41億円に回復した。主要な供給先である自動車・鉄鋼業界の生産回復にともなうもので、為替差益の発生も寄与。国内外とも半導体不足によって自動車の生産調整が実施されたが、影響は限定的だったとする。また鉄鋼業界向けも内外でインフラ投資などが活発化したことが追い風となった。

 売上高は同35・9%増の282億円。増販効果のほか、為替差益が1億円あまりの増収要因となった。経常利益は同2・2倍の49億円、純利益は同3・2倍の30億円。営業利益はコロナ禍前の19年第1四半期に近い水準まで回復した。

 主力の薬品事業は同94・7%の増益。20年後半からの回復基調が継続し、金属表面処理剤の販売が堅調に推移し、海外でもアジア地域での販売が回復した。加工事業の営業利益は同2倍に拡大。北米で苦戦がみられた一方、国内とアジアにおける自動車部品メーカーの生産回復で大きく伸長した。装置事業は黒字転換を果たし、同1億円あまりの営業利益を確保(前年同期は2億円あまりの営業損失)。とりわけ中国とタイで自動車メーカー向けの前処理装置の施工が進捗したことが寄与した。

 通期予想は据え置いた。

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