★クラレ

 クラレの2021年1~6月期決算は米国や中国を中心とした経済回復により、自動車や電子デバイス、デイスプレイなどの需要が好調に推移したことで増収増益となった。売上高は前年同期比15・4%増の3023億円、営業利益は同55%増の304億円、純利益は同27・8%増の117億円だった。下期も販売が堅調に推移するとみて、通期業績を上方修正する。

 セグメント別にみると、国内関連会社の販売が低調だったその他を除く全事業で増収増益だった。中核のビニルアセテート事業の売上高は同21・9%増の1484億円、営業利益は同45・6%増の246億円。ポバール樹脂やエチレン―ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂「エバール」は米国寒波の影響を生産面で受けたが、コロナ禍からの需要回復で販売量が増加した。耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」の需要が電気・電子デバイス向け、自動車向けに伸長したイソプレン事業も、売上高が同23・2%増の305億円、営業利益が同51・7%増の32億円と好調だった。

 修正後の通期予想は売上高が2月発表の前回予想から400億円増の6100億円、営業利益が110億円増の660億円、純利益が30億円増の330億円を見込む。

★住友ベークライト

 住友ベークライトの2021年4~6月期決算は、いずれのセグメントも大幅な増収増益となり、とくに前年同期にコロナ禍の影響を強く受けた高機能プラスチックは黒字化した。売上収益は封止材の増販や川澄化学工業の連結化などから前年同期比43・5%増の626億円、事業利益が同2・8倍の66億円、営業利益が同2・5倍の65億円、純利益が2・8倍の52億円。

 セグメント別事業利益は、半導体関連材料が同83・7%増の37億円。世界的な半導体需要の拡大継続により封止用エポキシ樹脂成形材料が大幅に伸びた。高機能プラスチックは20億円(前年同期は3億円の損失)。欧米の自動車生産回復のほか、中国での電子・電気用も好調で前年同期比5割以上の増収だったが、航空機部品は低調だった。クオリティオブライフ関連製品は同27・5%増の18億円。昨年10月からグループ化した川澄化学工業の影響もあり増収増益だった。

 4~6月期の事業利益が通期計画の35%に達するなど好調な状況にあるが、「サプライチェーン問題や原料価格、新型コロナの帰趨など下期に向けてのリスクについてもう少し様子をみたうえで通期業績を考えたい」(中村隆取締役専務執行役員)として通期業績予想は修正しなかった。

★大日精化工業

 大日精化工業の2021年4~6月期決算は、営業利益が前年同期比3・1倍の25億円だった。自動車生産の回復や情報電子分野の好調が続き、コンパウンドや顔料など主要製品の販売が増加。一方、印刷インキでは原材料費の高騰などが影響し、収支トントンとなった。

 会計基準の変更にともない、売上高は従来手法に比べ108億円減の302億円として計上。経常利益は前年同期比2倍の27億円、純利益は同1・4倍の19億円だった。

 同期からは、従来の4セグメントを3つに再編したうえで名称変更した。コンパウンドなどを手がけるカラー&ファンクショナル プロダクト事業は会計基準変更の影響が大きかったが、営業利益16億円を確保(前年同期は1億円の赤字)。家電・車両向けコンパウンド・着色剤が好調だったほか、ディスプレイ向け分散体が堅調に推移した。また前期にコロナ禍の影響が大きかったオフィス事務機用途にも回復が見られた。

 ポリマー&コーティング マテリアル事業は同76・6%の営業増益。ウレタン樹脂の車両・アパレル向け販売が好調だったほか、ディスプレイ用コート材も堅調だった。グラフィック&プリンティング マテリアル事業は原料高や新工場の償却負担などが大きく影響し、営業利益の確保にいたらなかった。パッケージ向けインキの需要は堅調だったが、前年同期に好業績だったインドネシア拠点が感染拡大の影響で減収となるなどした。

 通期予想は据え置いた。

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