★日本ペイントホールディングス

 日本ペイントホールディングスの2020年1~6月期決算(国際会計基準)は、19年に豪・トルコで実施した汎用塗料メーカーのM&A(合併・買収)効果などにより増収で着地した。汎用塗料は、中国での建設工事再開を受けてプロ向けが伸長。豪州では巣ごもり・リノベーション需要を吸収した。一方、自動車用塗料はOEMの生産調整が直接影響して各地域とも低迷。同分野は通期でも、中国を除いて新型コロナ禍の影響が長期化すると見込む。
 売上収益は前年同期比10・6%増の3454億円。営業利益は同17・3%減の346億円、税引前利益は同19・8%減の339億円、純利益は同19・3%減の168億円だった。買収効果を除く実質ベースでは減収減益。売上収益で約1割、営業利益で約4割減とする。
 セグメント別にみると、アジア地域は減収減益となったものの、中国の汎用塗料事業がプロ向けを中心に伸長。DIYも都市封鎖解除で前年同期並みを維持した。国内は各分野とも振るわず減収減益。とりわけ自動車用塗料の比率が高く、同8割の大幅減益だった。オセアニア地域は住宅リノベーションなどが好調。欧州などその他地域は買収効果もあって黒字転換を果たした。米州は住宅需要が旺盛で汎用塗料が好調だったが、自動車などが振るわずセグメントとしては減収減益となった。通期業績予想は上方修正。中国・米州・その他地域での汎用塗料の伸長を見込み、売上収益7300億円、営業利益660億円とした。一方、自動車用塗料は下期以降も各地でコロナ禍影響の長期化で需要低迷を見込んでいる。

★中央化学

 中央化学の2020年4~6月期決算は大幅な増益となった。新型コロナで中食需要が増え、トレーや弁当容器が拡大した。同様の用途を中心に中国事業も収益を伸ばした。現状の事業環境が続くことを前提とした業績予想を開示し、通期では売上高が前期比0・8%増の484億円、営業利益が同17・3%増の13億円となる見通しとした。
 4~6月期の売上高は前年同期比1・8%減の120億円、営業利益は同41・4%増の4億円。国内ではスーパー向けに発泡PSPトレー、テイクアウト向けを含め各種樹脂素材の弁当容器、たれ容器などの出荷が増加した。環境対応のリサイクルPET製品ではミールキット、フルーツ、すし向けの容器の販売が伸長した。一方で、外出自粛の影響からイベント・行楽、外食向けは低迷し、売上高の落ち込み要因となった。
 中国事業はこれまでの工場集約による生産性改善に加え、新型コロナによる宅配・持ち帰りなど中食需要により利益を伸ばした。

★コスモエネルギーホールディングス

 コスモエネルギーホールディングスの2020年4~6月期決算は、260億円の純損失(前年同期は147億円の純利益)だった。原油価格の急落に伴い、342億円の在庫評価損が発生したことが響いた。また、パラキシレンなどの市況悪化が石油化学事業を直撃。石化事業が67億円の経常損失(前年同期は56億円の経常利益)に陥ったことも響いた。
 売上高は前年同期比33・1%減となる4400億円で、営業損失が280億円、経常損失が283億円だった。通期業績予想は据え置いた。
 本業の石油事業は前年同期から13億円増益となる25億円の経常利益(在庫影響除き)。コロナ禍でも、キグナス石油との連携による販売拡大が51億円の増益要因となった。
 当期の在庫損失に関し、14日に会見した植松孝之代表取締役常務執行役員は「今の石油価格が維持されれば、通年で当期の在庫損失は解消へ向かう」との見通しを示した。

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