JSRの2020年4~6月期決算(国際会計基準)は減収減益だった。エラストマー事業はコロナ禍に伴う自動車需要などの減少が直撃し、セグメントで55億円の営業損失(前年同期は2億円の営業利益)を計上した。一方、半導体材料などの非石化部門は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が比較的小さかったため、全体として純利益11億円(前年同期比84・5%減)を確保した。

 売上収益は前年同期比22・0%減の930億円、営業利益は同77・1%減の23億円だった。通期業績予想は据え置いた。

 セグメント別に見ると、エラストマー事業の売上収益は同40・3%減となる273億円だった。自動車・タイヤ需要の減少が想定以上に響いた。低燃費タイヤに用いられる溶液重合スチレンブタジエンゴム(S―SBR)は「合成ゴム事業の中でも例年成長を続けていたが、当期は全体と同じくらい下落した」(宮崎秀樹取締役常務執行役員)。合成樹脂事業も自動車需要低迷の影響を受け、営業利益が同74・6%減となる5億円だった。

 一方、テレワーク需要などを取り込んだ半導体材料事業は前年同期比25%増となる238億円の売上収益を達成した。ライフサイエンス事業も一時要因の影響で営業利益は前年を下回ったが、販売は好調で売上収益は同2・4%増となる126億円だった。石化部門・非石化部門で明暗が分かれる決算となった。

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