米モデルナは18日、新型コロナウイルスに対するワクチン「mRNA―1273」の臨床試験で、良好な中間結果を得たと発表した。すべての被験者で免疫原性が認められ、これまでに評価した全8例で中和抗体が形成された。重篤な有害事象はなかった。同社は近く次の臨床試験を開始し、7月には承認申請の根拠とする最終試験を始める計画だ。新型コロナに対するワクチン開発で、ヒトに対する有効性が示唆された初めての試験データになる。

 米国で行われているP1試験の初期データが明らかになった。同試験は18~55歳の健康成人を約45例組み入れ、3種類(25、100、250マイクログラム)の用量グループに分けて実施。3種類すべての用量群で回復患者と同等以上の免疫原性が認められ、用量依存的に増大した。中和抗体についても回復患者と同等以上の抗体レベルが認められた。中和抗体のデータは、初期に登録され2回の接種が完了した8例分(25、100マイクログラム群の各4例)のみの評価。

 安全性についても「概ね安全で良好な忍容性」があると評価。2回接種した30例(25、100マイクログラム群)のうち、グレード3の有害事象として接種部位の腫れ(紅斑)が1例。高用量(250マイクログラム群)では発熱や頭痛などグレード3の副反応が3例報告された。グレード4以上の重篤な有害事象はなかった。

 モデルナは良好な初期データを得たとし、近くP2試験を米国で始める。用量設定を50、100マイクログラムの2種類に変更し、目標症例数は約600例。初期データが分かり次第、7月にも数千例規模のP3試験を開始し、薬事承認申請を目指す。医療関係者などに対しては、今秋にも「緊急使用許可(EUA)」制度を利用して一部供給することも視野に入れる。

 ワクチンの量産準備も進める。米ロンザと生産提携し、7月に出荷が始まる予定。来年には年産10億本規模の供給体制を確立する。米国保健福祉省の米国生物医学先端研究開発局(BARDA)から約4億8300万ドル(約520億円)の資金援助を得て、開発と生産準備を加速している。

 新型コロナのワクチン開発は、モデルナと中国のカンシノ・バイオロジクスが最も進んでいる。カンシノは4月から中国でP2試験を行っているが、P1試験結果は明らかになっていない。

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