英アストラゼネカ(AZ)は、英オックスフォード大学と開発中の新型コロナウイルスに対するワクチンについて、米国政府から12億ドル(約1300億円)の支援を獲得したと発表した。ワクチンの開発や量産、物流体制の整備に役立てる。まず4億本(接種)を米英向けに確保し、今秋から供給を始める。来年にかけて10億本以上を供給できるようにし、各国政府や企業と調整している。

 AZは先月末、オックスフォード大が創製した新型コロナワクチン「AZD1222」を共同開発するライセンス契約を締結。このワクチンの実用化に向けて、米国保健福祉省の米国生物医学先端研究開発局(BARDA)が12億ドルの支援を決めた。BARDAは新型コロナワクチンを開発している米モデルナや米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)なども支援しているが、現時点でAZが最高額の援助を獲得した。

 同ワクチンは先月から英国で1000人規模の第1/2相臨床試験が実施中。近く初期のデータが出る見込みで、良好な結果が得られれば第3相試験へ進める。米国では今夏に3万人規模の臨床試験と小児対象の試験を行う。期待した結果が出れば、10月頃から3億本以上を米国向けに供給する。本拠地の英国では9月にも供給を始め、まず1億本を提供する。

 AZは元々ワクチンを主力事業にしていないが、政府の支援や他社との提携を活用して全世界向けのサプライチェーンを整える考え。来年にかけて10億本以上を供給できる体制を確保したが、提携先をさらに広げて増産可能にする。インドのワクチン大手・印血清研究所などとも交渉している。

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