JCRファーマは31日、新型コロナウイルスワクチンの日本への供給について英製薬アストラゼネカ(AZ)と協議を開始したと発表した。AZはアデノウイルスベクターを用いたコロナワクチンの最終治験を6月に開始し、世界でのワクチン開発で先頭集団にいる。JCRは治験薬を製造している細胞培養設備を用い、日本向けのワクチン原液の製造で協力する方針だ。

 AZは開発中のコロナワクチンについて日本政府と1億接種分を供給する方向で協議中。日本向けのワクチン原液の製造で協議に入ったのはJCRのみという。同社は神戸市内の既存工場にAZから技術移転を受け、ワクチン原液を製造する計画。どれだけの接種分に対応するかは今後協議する。

 AZは日本向けワクチンの充填・包装について明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクスと第一三共の2社と協議を始めている。JCRとの連携により原液から製剤化まで一連のサプライチェーンが整うかたちだ。

 再生医療製品を手がけるJCRファーマはウイルスベクターを用いる遺伝子治療薬の研究開発にも乗り出している。ワクチン製造の経験はないものの、細胞培養のノウハウや商業化設備を保有する国内で数少ないバイオ製薬の1社。

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