医薬品医療機器総合機構(PMDA)は22日、新型コロナウイルスワクチンの承認申請の根拠となる第3相臨床試験など検証的試験の実施方法に関する考え方を公表した。有効性評価は、発症予防効果ではなく中和抗体のデータでも申請を認める。原則として同じタイプ(モダリティ)の既承認ワクチンと比較し、同等以上の免疫原性を求める。複数の治験で同じ既承認ワクチンが対照群に設定される場合は、対照群の共有も可能とする。

 検証試験として求める症例数は、比較する対照群を除いて3000人以上。未感染者・未接種を対象にし、流行国・地域での実施が望ましいとしている。

 対照群には、プラセボではなく承認ずみのワクチンを使用する。同じモダリティ、接種回数・間隔のワクチンを選ぶことを求めるが、類似した既承認ワクチンが存在しない場合などは、異なるモダリティのワクチンも使用可能。例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンに分類される第一三共の開発品はファイザー製などが候補になるが、組み換えたんぱくワクチンの塩野義製薬や不活化ワクチンのKMバイオロジクスの開発品は、同一モダリティの国内既承認ワクチンがまだない。

 同時期に行われる複数の検証試験で同じワクチンが対照薬に使われる場合は、共通の治験計画書で評価する「プラットフォーム試験」の実施も認める。例えば第一三共や塩野義、KMバイオなどが同時期に検証試験を行い、対照薬にファイザー製などを使用する場合は、対照群の被験者データを共有できる。

 有効性評価は、当初求めていた実際の発症予防効果にかえて、中和抗体価に基づく免疫原性も評価基準として認める。中和抗体価の幾何平均値(GMT)や陽転率で評価し、原則として既承認ワクチンと同等以上の免疫原性(非劣性)の証明を求める。非劣性の範囲は中和抗体のGMT比0・67、陽転率の差マイナス10%。異なるモダリティのワクチンと比較する場合は個別に基準を設定できる。変異株に対する効果も抗体価で評価する。

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