ヘリオスは、治験中の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象疾患とした体性幹細胞再生医薬品「HLCM051」の有効性・安全性を確認したと発表した。実現すれば、世界初のARDS治療薬となる。新型コロナウイルス感染症由来のARDSへの効果も確認した。現在、日本で承認申請を準備中で、早期の上市を目指す。

 同剤は、骨髄由来幹用系幹細胞を用いた製品。肺が繊維化する前の段階で投与することで炎症を抑え、血管新生や、傷害を受けた組織・細胞の修復を促す。1回の点滴で治療できるため、入院期間の短縮や、医療従事者の負担軽減につながると期待される。

 国内第2相臨床試験(P2)では、肺炎由来のARDSで標準治療群と比べて同剤を投与した患者は死亡率が39%改善した。新型コロナ由来のARDSでも、5人の投与者全員が28日以内に人工呼吸器を離脱した。

 ARDSは国内で年間約7000~1万2000人の患者がおり、約30~58%が死亡するとされる。同社は2016年に米バイオベンチャーから、脳梗塞を対象に同剤の国内での開発・販売権を取得。18年からはARDSへの開発も進めてきた。

 ヘリオスの鍵本忠尚社長は、「早期の承認を目指し、規制当局と相談を進める」と語っている。

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