厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第2部会は12日夜、米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」の特例承認について審議し、了承した。14日にも正式承認され、17日ごろから接種が始まる見込み。日本で承認された初のコロナワクチンになる。

 コミナティは昨年12月18日、ファイザー日本法人により承認申請された。海外の大規模治験結果を先に提出して審査を進め、国内治験のデータも1月末に出した。国内治験は20歳以上の成人160例を登録して安全性や免疫原性を検証し、中和抗体が海外データと同等以上に上昇する結果を得た。安全性評価も海外と同様の内容で、重篤な有害事象はなかった。海外治験は4万4000例を登録し、発症予防効果を示す有効率95%を記録した。

 これらのデータから部会では有効性、安全性が確認できたと判断、承認して差し支えないとの結論にいたった。最近増えている各国の変異株に対しても、企業の提出データなどから一定の有効性があると評価した。

 承認予定の対象年齢は16歳以上。妊婦も原則として対象に含め、虚弱な高齢者の場合は、医師がリスクベネフィットを考慮した上で接種を判断する。ワクチン含有成分に対して重度の過敏症の既往歴がある人は対象外。明らかな発熱がある人や重篤な急性疾患がある人も禁忌とする。約3週間間隔で2回接種する。

 部会で出た指摘事項を受けて添付文書の修正などを行った上で、14日にも厚労相が正式承認する。海外で使用されている医薬品などで、緊急時に承認審査を大幅に短縮できる「特例承認」が適用される。ワクチン検定や日本語ラベルの対応も省略できるため、承認後すぐに接種を開始できる。まず医師などを対象とする接種が17日にも始まる見込み。日本政府は年内に1億4400万回分(7200万人分)の供給を受ける契約を結んでいる。

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