武田薬品工業は24日、米ノババックスから導入した新型コロナウイルスワクチンの国内臨床試験を開始したと発表した。武田薬品が国内開発するコロナワクチンは、先ごろ治験を始めた米モデルナ製に続き2剤目。国内治験と並行して、海外の大規模治験データを根拠にそれぞれ承認申請へ持ち込む考え。今年6月までにモデルナ製、今夏以降にノババックス製の供給開始を目指す。

 ノババックス製コロナワクチンの国内第1/2相臨床試験(P1/2)を開始し、24日に最初の症例への接種が行われた。20歳以上の健康成人200例を組み入れ、ワクチンの安全性と免疫原性を評価する。21日間隔で2回接種する。墨田病院(東京都墨田区)、にしくまもと病院(熊本県熊本市)の2カ所で行う。

 開発が先行する海外のP3結果も活用して承認申請する予定。英国で約1万5000例を登録したP3では、発症予防効果の有効率が89%超を記録。英国などで急増した変異株には同86%、南アフリカ型変異株には同50~60%だった。

 武田薬品は、同ワクチンの国内製造権も取得している。光工場(山口県)で技術移転を進め、年産2億5000万回分以上の生産能力を整備する。同工場でワクチン原液から充填・包装まで製造する予定。日本政府との供給契約は協議中という。海外向けの生産では、富士フイルムやAGCの子会社などが協力している。

 武田薬品は、モデルナのコロナワクチンも日本向けに導入。国内P1/2を1月21日に始め、200例の症例登録が2月3日に完了。海外P3データも使って承認申請し、6月までの供給開始を目指す。同ワクチンは6月末までに4000万回、9月までに1000万回分を供給することで日本政府と契約している。

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