武田薬品工業は5日、米モデルナから導入した新型コロナウイルスワクチン「TAK―919」について、厚生労働省に製造販売承認を申請したと発表した。日本人に対する臨床試験は進行中だが、海外の大規模治験データなどをまず提出して申請した。5月にも国内治験のデータが揃い、承認が判断される見通し。6月末までにまず4000万回分を日本へ供給する。先ごろ承認申請したアストラゼネカに続き、日本政府が供給契約を結んでいるコロナワクチン3剤すべてが申請または承認されたことになる。

 先月に承認されたファイザーのコロナワクチンなどと同様に、まず海外の第3相臨床試験(P3)データを提出して申請した。欧米で接種されていることなどを根拠に、審査期間が大幅に短縮される「特例承認」の適用を求める。国内治験の申請データは5月にも医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出する予定。ファイザーのワクチンと同様のタイムラインで審査されれば、最短で5月中の承認が可能だ。

 海外P3は18歳以上を約3万例登録した治験で、発症予防効果の有効率が94%超を記録した。国内治験は1月21日に開始し、2月上旬に症例登録が完了。現在は2回目の接種が進んでいる。20歳以上の健康成人200例を登録し、安全性や免疫原性を確認する。

 モデルナのコロナワクチンは、ファイザー製と同じくメッセンジャーRNA(mRNA)を使ったワクチン。一般的な医療用冷凍庫(マイナス25~マイナス15度)で最大6カ月、冷蔵庫(2~8度)で1カ月保存でき、ドライアイスは不要。1バイアルの充填量は接種10回分。

 6月までに4000万回、9月までに1000万回分を供給することで日本政府と契約している。武田薬品によると、日本向けワクチンは欧州の製造委託先から供給される予定。モデルナはスイス・ロンザなどと同ワクチンの製造提携を結んでいる。

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