物質・材料研究機構とエジプト肝臓病センター(ELRIAH)の研究グループは新型コロナウイルス感染症の簡易診断で、抗原検出感度を約10倍に高める濃縮・精製法「SmartCov(スマート・コヴィ)」を開発した。これまで見逃していた抗原量が少ない陽性「擬陽性」も正確に判断できる可能性がある。現在、ELRIAHで患者サンプルを用いた実効性の検証を計画中。感染拡大予防や重症化リスク低減につながる30分程度で高感度に陽性が判別できる診断ツールとして実用化を目指す。

 新型コロナウイルスの抗原を補足した抗体はスマートポリマーと呼ばれる高分子材料と結合する。このポリマーは温度によって水への溶解性(親水・疎水性)を変える性質があり、疎水性の傾向を示す体温付近の37度Cで5分間遠心分離処理を施すと、効率的に擬陽性の原因となる不純物は除去されるとともに、抗体が捉えた抗原を6倍程度までに濃縮する。両者の効果で簡易抗原検査の感度は従来法に比べ10倍程度アップする。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

HP独自・先行の最新記事もっと見る