欧州医薬品審査庁(EMA)は18日、英アストラゼネカ(AZ)の新型コロナウイルスワクチンについて安全性を確認したと発表した。欧州で報告されている血栓症について調査した結果、ワクチンとの因果関係は認められなかった。「ワクチン接種で得られるベネフィットはリスクを上回る」と結論づけ、引き続き同ワクチンの接種を推奨する方針を示した。血栓の報告を受けて域内十数カ国が接種を見合わせていたが、順次再開する見通し。

 欧州・英国でAZ製ワクチンの接種を受けた人は16日時点で約2000万人。臨床試験を含めてこれまでに報告された血栓イベントは約470例あった。自然発生する頻度を下回ることから、EMAは同ワクチンにより血栓症リスクが高まることはないと結論づけた。また、特定の製造バッチや製造所が要因でもないとした。

 ただし一部の症例には注意が必要なこともわかった。全身の血管内に血栓が多発する播種性血管内凝固症候群(DIC)が7例、脳に血栓ができる静脈洞血栓症(CVST)が18例あった。このうち9例は死亡し、多くが55歳未満の女性だった。

 EMAは、AZ製ワクチンと血栓リスクは無関係だが、接種後に血栓症が疑われる症状を感じた場合は速やかに医療機関へ報告するよう呼びかけている。

 EMAの調査結果が出るまで接種を中断してきた欧州各国は、19日から接種を順次再開する見通し。

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