厚生労働省は11日、新型コロナウイルス感染症などの治療に使う免疫グロブリン製剤の供給支援事業で、武田薬品工業の子会社、日本製薬を選んだと発表した。免疫グロブリン製剤は、感染症などの回復者から収集した原料血漿を基に作る抗体製剤。次の新興感染症にも備え、来春には迅速に国内製造できる体制を整える。

 コロナ感染者の回復期血漿にはコロナウイルスに対する中和抗体が含まれており、これを濃縮した免疫グロブリン製剤の治療効果が期待されている。血漿収集から製剤化までの供給体制が国内にないため、厚労省は「特殊免疫グロブリン製剤供給体制整備支援事業」で製造業者を支援する。

 公募の結果、日本製薬1社が応募し、同社に決めた。支援額は約2500万円。製造ラインの整備や品質試験などの設備に必要な経費を補助する。同社によると、血漿分画製剤を製造している成田工場(千葉県成田市)の施設内に製造ラインなどを追加する予定。支援期間は来年2月末までで、今年度中に供給体制を整える。コロナ治療に限定せず、次に新興・再興感染症が流行したときにも早期に国内製造できる体制を保持することも条件という。

 コロナ治療の免疫グロブリン製剤は、日本製薬の親会社、武田薬品も海外企業と提携して開発していた。この提携を通じて米国で収集した原料血漿が、今回の支援事業で使われる予定はないという。医師主導の臨床試験が日本でも行われたが、薬事承認された製剤はまだない。

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