自今満弐拾年ヲ以テ丁年と相定候-。1876年(明治9年)に出された太政官布告第41号で「丁年」が20歳と定められた。丁年は兵役と課税対象者の基準年齢を指し、明治29年に制定された民法に成年の規定として引き継がれた。きょう4月1日、民法が一部改正され、成年年齢が18歳に引き下げられた▼民法では人の権利能力、行為能力が明文化されている。第2章・第1節の権利能力は第3条「私権の享有は、出生に始まる」とされ、第2節の行為能力として第4条に成年の年齢が規定されている。成年になったことで独立した行為能力が与えられる意義は大きい▼18歳になれば法定代理人の同意がなくても各種の契約を結ぶことができる。スマートフォン、クレジットカードなどの契約も自分の判断で行えるようになるが、「新成年」の親は自分の子を信頼したい一方、不安も感じるのではないか▼飲酒、喫煙は健康面などの影響を考慮して年齢引き下げにはならなかった。18歳になったからといって高校生が大手を振って居酒屋に出入りするのはやはり違和感がある▼かつての農村社会では「一人前」と呼ばれるには田畑を耕したり機を織ったり一定の労働力が条件になったようだが、現代社会においても同じようなことがいえそうだ。年齢はあくまでも一つの物差しにすぎない。(22・4・1)

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