安倍元首相の銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者の減刑を求める署名活動がインターネット上で行われている▼容疑者の母親は旧統一教会に入信する前にも別の宗教団体にのめり込み、ほぼ育児放棄、父親と母親の間にはそのことでけんかが絶えず、その後父親は自殺。母親は旧統一教会に入信すると、まだ幼い子供たちを残して度々韓国に行き、その間、子供たちは食べるものすらない状態であった。幼い頃から母親の信仰の影響下で育ち、精神的な苦悩をも余儀なくされたという▼容疑者にとっては当然罰せられるべき宗教団体を、国家の最高権力者が取り締まるどころか支持していたと知ったときの絶望は想像に難くない。署名活動の主催者は「本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事」から、「過酷な生育歴を鑑みての温情」をかけるべきだと訴えている▼ただ、減刑の余地を不遇に求める主催者をよそに、署名とともに寄せられたコメントには「山上は国士」のように、宗教2世の苦境や政界と旧統一教会の癒着関係を世間に知らしめた“功績”を称えるものが少なからずあった▼世の中が良い方向に進むなら人をあやめてもいいという考えは端的にテロを支持している。署名は増え続けており、8000人に達しようとしている。(22・9・1)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

セミナーイベント情報はこちら

精留塔の最新記事もっと見る