少子高齢化にともなって労働力人口の減少が続き、さまざまな業界で人手不足が深刻になっている。ロボットが進化するにせよ人工知能(AI)が普及するにせよ、それによって企業が求める「人手」をすべて賄うことは難しい。人材確保は経営の重要課題になっているが、解決策の一つとして挙げられるのが外国人の活用▼インド出身のエンジニアが起業した人材派遣会社を取材する機会があった。外国人エンジニアをエンジニアリング業界などに年間200人以上派遣している。自身が長く日本で働いていることもあって、来日するエンジニアの生活サポートに力を入れているのが印象的だった▼ビザの手続きを代行するほか住居の手配、家具・家電の用意を行う。必要とあれば役所にも同行する。大きな障壁は言葉の違いだが、インドに日本語学校を設けて実践的な語学教育を行っている▼派遣にあたっては技術面のマッチングはもちろんのこと、エンジニアの個性も配慮する。顧客企業には利点だけではなくリスクを説明する。そうやって信頼関係を構築していくことが大切なのだろう▼異文化との触れ合いは摩擦を生むかもしれないが、その一方で新たな発想や視点に気づく可能性がある。海外人材の活用は労働力の補完にとどまらず、多様性という効果をもたらすかもしれない。(22・9・9)

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