スト(ストライキ)、装置、爆弾、立法…。これらの上に付く2文字の単語とは? 答えは「時限」。広辞苑には、時間の限界、時のかぎり、刻限、授業などの時間割の単位、とある。時限のスト、装置、爆弾、立法とくれば、これは「時のかぎり」の意味合いがいちばん合っているだろう。時間の限りなんらかの状態が続き、時が来ればその状態が消えたり、根本的に変化したりする▼ここにもう一つ加えよう。「時限生分解性」だ。その機能を持つ「時限生分解性プラスチック」の研究が進んでいる。材料の生分解性と安定性というトレードオフを解決するための革新的な素材である▼群馬大学の粕谷健一教授は、製品として使用している間は物性が安定的に維持されるが、海洋に流出されると分解が始まり、促進される「仕掛け」を備えたプラスチックの研究を進めている▼電位の値が低い海底に到着すると分子結合が切れるプラスチックと、海洋で破損し内部に水分が進入すると内部で休眠させていた微生物が分解を促進するプラスチックだ。電位差、素材破損がスイッチとなって分解が始まる▼「スイッチが入る」とは日常でもよく使われる言葉だが、環境と共生する文明を志向していかなければならない今後、素材開発の必須キーワードとして念頭に置きたい。(21・3・10)

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