1981年6月21日から50日間、米大リーグがストを打った時、米国のTV局が苦肉の策として日本の試合を中継した。その前年から巨人に、ヤンキースの主軸を担ったロイ・ホワイト選手が在籍していた。懐かしい選手の活躍に米国の野球ファンが慰められたと聞く▼世界中で主要スポーツのリーグやトーナメントが開催できないいま、そんな代替策はない。独ブンデスリーガを皮切りに、サッカーが再開に動き始めた程度。無観客では迫力も半減だが、生の試合を観られるならまだましか▼ステイホームにも在宅勤務にも徐々に慣れ、リモート取材や打ち合わせにも対応している。マスク着用を忘れず3密回避に気を配る。新しい生活パターンに馴染む努力はしている昨今だが、スポーツ映像への飢餓感は募る一方だ▼夜のスポーツ番組が実に味気ない。制作側も過去の名場面特集など工夫を凝らしている。それなりに心を打つが、贔屓のチームや選手の今のプレーを観たいのがファン心理。最新映像のインパクトには及ばない▼19日にプロ野球が開幕し、Jリーグなど他のスポーツも後を追う。情勢は予断を許さないから、もちろん無観客からのスタート。毎朝の会話が昨日の感染者数ではなく、前夜の試合の感動や興奮、プレーぶりへの論評から始まる日常が戻るのが待ち遠しい。(20・6・8)

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

精留塔の最新記事もっと見る